お客さまから必要とされつづける人になる第一歩は“余白を埋めること”。PRパーソンから学ぶ、お客さまと長く良好な関係を築くコツ〜Cannpass主催イベントレポート〜

フリーランスや複業(副業)人材を活用する企業が増えるとともに、会社員以外の自分らしい働き方を模索したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

フリーランス・複業(副業)は自由な働き方ができるものの、継続したお仕事の依頼や、お客さまとの深い信頼関係の築き方など、悩みを抱えている方も少なくありません。


そこで株式会社Cannpassでは、2023年2月19日、フリーランスのPR・広報プランナーとして活躍されている宮下敦子さんをお招きして、オンライントークイベントを開催。フリーランス・複業(副業)人材として長く活躍しつづけるためのヒントについて伺いました。


参加者から「明日からの仕事が楽しみになった」との声もあり、満足度も高かった今回のイベント。当日ゲストにお話いただいた内容を、イベント主催メンバーの斉藤里菜がレポートします。


フリーランスという働き方は、自分が輝くためにとった最良の選択

モデレーター:敦子さんは日系の大企業にお勤めでしたが、フリーランスに転身された背景を教えていただけますか?


宮下敦子(以下、宮下):PR・広報プランナーとしてフリーランスになる前は、10年間ほど東芝で広報や海外マーケティングなどを担当していたのですが、「自分が輝けていない」と感じる苦しい期間が長かったんです。

大企業ではプロジェクトの始めから終わりまでを担うことが少ないため、自分の業務が、社内外にどのようなインパクトを与えているのかが見えにくいことも多かったからかもしれません。


転機になったのは、入社7〜8年目に担当したある映像のプロジェクトでした。先輩から「このプロジェクトは、企画から制作まで宮下ちゃんにすべて任せるからね!よろしく!」と丸投げしてくれたんです。

そんな状況は初めてで、最初は呆気にとられたのですが、プロジェクトを進めていくうちに、水を得た魚のように生き生きと働いている自分に気がつきました。ハンドルを自分で握って仕事をするってこんなにも楽しく、情熱が湧くんだなと感じたことを覚えています。


その出来事をきっかけに、より自分らしく働くことができるのはフリーランスなのではないかという思いが徐々に強くなり、社外活動も少しずつするようになりました。そして退社するときには明確に、「フリーランスのPR・広報プランナーになろう」と気持ちが固まっていました。


モデレーター:少しずつフリーランスとして独立する準備が整ったんですね。フリーランスになってからは、どのようなお客さまから、どういったお仕事を依頼されることが多いのでしょうか?


宮下:担当させていただくのは、スタートアップのお客さまが多いです。フリーランスになり5年経ちますが、ありがたいことに、お仕事は紹介のみで成り立っています。

メインはもちろんPR・広報なのですが、マーケティングやブランディングの領域にまたがることも多々あります。おそらくご紹介者の方は「宮下さんに会ってみると良いよ!あの人なら、どんな相談でもなんとかしてくれるから」というざっくりとしたご紹介で引き合わせてくださっているのだと思います。


そのため、お客さまからご依頼をいただくなかで、タスクベースのお仕事はほとんどなく、「この課題に対して何ができそうですか?」と抽象的なご相談からいただくことが多いですね。

こうした枠にはまらないフリーランスの自由な動き方が、私にとって最大限に価値を発揮できる環境や条件なので、自身の強みを活かしたアプローチを取ることができているのだと思います。

目指すのは、企業にとって「いてくれるだけでありがたい存在」になること

モデレーター:紹介のみでお仕事をするということに憧れる方も多いと思います。お客さまとの深い信頼関係を築くにあたり、どのようなことを意識されていますか?


宮下:まず、私が目指しているのは、お客さまに「ありがたいな」と思われる存在になることなんです。いてくれているだけで心強い、何でも相談したくなるような「いなくてはならない、安心感のある存在」になりたいと思っています。

そのような存在になるために、お客さまと私の間にある「余白」を、なるべく早い段階で埋めるように意識しています。


関係性が始まったばかりのころは、お互いわからないことだらけですよね。そのため、お客さまが抱えている課題や、事業の方向性、どういったビジョンがあるのかなど、前提として理解しておきたいことについて知るため、お客さまである企業やその社員の方々に対して純粋に興味を持ち、よく観察することでヒントを得ようとします。

たとえば、初めてオンラインでご挨拶をする場面で、自分の自己紹介は早めに切りあげて、お客さまへ質問する時間を多く設けるようにしています。その企業さまの空気感を感じたり、「いまここで語られていないことは何なのだろう?」と推測してなるべく多くの情報を集めたりすることに時間を使うのです。


自社のことに興味を持って聞いてもらえると、お客さまも喜んでお話してくださり、初期の段階から良好な関係性を築きやすくなります。

関係性をつくり始める段階で、お客さまが目指したい理想やゴールを一緒に描けるようになっておくことが大切だと思っていますし、実際にお仕事を進めるなかでも、徹底してコミュニケーションを取り、疑問を解消するようにしています。


モデレーター:お客さまと目線合わせをすることは大切なことですよね。


宮下:お客さまと成果の認識をすり合わせるうえでも、大事にしたいポイントですね。

PRは数値での成果が測りにくいと一般的に言われますが、お客さまに自分の価値を感じていただけるかどうかは、お客さまが目指したい姿に近づいていると実感いただけているかどうかだと私は思っています。最初に上流部分の目線合わせができていれば、必ずしも数値で測れる成果を報告しなくても、信頼してお任せいただける関係性は築けると感じますね。

日々の誠実な対応の積み重ねが、長く愛されるフリーランスの秘訣

モデレーター:フリーランス・複業(副業)など、個人で活躍しつづけるためのコツはなんでしょうか?


宮下:自分の弱みを明確にすることは大切ですね。

私自身、広報・PRの業務のなかでも、得意なことと苦手なことがはっきりと分かれています。質の高いアウトプットを出すうえで、その業務にどのくらい自分のエネルギーが湧くかどうかは、自分の力を最大限に発揮するための重要なポイントです。


また、お客さまからお仕事の相談をいただいた時点で、お客さまのご要望や仕事の進め方などを伺い、違和感を感じるものや、苦手なものはお受けしないというのも、お客さまの期待に応えるアウトプットを出すために必要な判断だと思います。これは、自分の弱みが認識できているからからこそできることですよね。


そういった対応がお客さまからの信頼度を高め、そのときにご縁がなかったとしても、その方からのご紹介など、次のチャンスにつながっていくのだと思います。


モデレーター:お仕事の相談をいただいたところから、すでに誠実な対応をされているんですね。日頃の業務においても、お客さまとコミュニケーションを取るうえで心がけていらっしゃることはありますか?


宮下:私の仕事はすべてオンラインなので、相手に配慮したテキストコミュニケーションを心がけています。

たとえばグループチャットでご担当者の方とやりとりをする際は、たとえ他の方と直接のやりとりが無くとも、チームメンバーのみなさんが見てくださっているという意識で、背景やプロセスなど、可能な限り丁寧な説明をしています。

そのような心がけをしていると、フリーランスという外部の人間であっても、同じチームで一緒に働く仲間として、安心してお仕事を任せていただけるようになると感じています。


モデレーター:そういった小さな積み重ねが信頼になって、ご紹介にもつながっているのですね。最後に、フリーランスや複業(副業)で活躍していきたいと考えている方に、メッセージをお願いします。


宮下:個人でお仕事を受けるためには、なにごともゼロから考えて進めなくてはいけないので、大変なこともたくさんあります。継続した学び、そして、そのための時間の投資も必要になります。

でも、自分の得意を存分に活かしながら、自分で仕事をコントロールできるという素晴らしい魅力があります。「すべてのプロセスを楽しみつつ、得意を活かしながらお互い頑張っていこうね!」とエールを送りたいですね。


モデレーター:ありがとうございます。敦子さんのお話を伺い、目の前のお客様との信頼構築を丁寧に行うことが、フリーランス・複業(副業)人材として第一に大切なことであると学びました。

私も明日から、いま携わっているお客さまとの関係性を、より大切に育んでいこうと思います。本日はありがとうございました。


●登壇者プロフィール

宮下 敦子(みやした あつこ)

フリーランス PR・広報プランナー。

株式会社東芝で10年間、海外マーケティングと社外広報、インナーブランディングに携わったのち独立。米スタンフォード大学等でWEBマーケティングとブランディングを学ぶ。帰国後、ベンチャー・スタートアップ企業を中心に、業種問わず共感する企業のPRプランニングに携わる。【広報・マーケティング・ブランディング】の3つの視点から、「伝える」より前段の、価値を「引き出す」に力を入れている。


●関連情報

<イベント主催>

・株式会社Cannpass(https://www.cannpass.jp/

・広報・PRプランナー&PRライター養成講座

企画・運営メンバー:林 春花/中丸 美月/斉藤 里菜


<株式会社Cannpass>

PR/キャリア/人材育成の事業をつうじて、企業・個人のみなさまをサポートする企業です。PRを軸に、複業(副業)・フリーランス・女性リーダー育成や、スキルアップ・キャリアアップ支援を行なっています。代表取締役:山崎春奈/所在地:東京都渋谷区。


イベントプレスリリース(※イベントは終了しました)


(執筆:PRライター 斉藤里菜 / 編集:山崎春奈)